『まるでドキュメンタリー』即興芝居に委ねられた映画のラスト10分…モトーラ世理奈が思い激白

引用元:中日スポーツ
『まるでドキュメンタリー』即興芝居に委ねられた映画のラスト10分…モトーラ世理奈が思い激白

 東日本大震災の犠牲者らに遺族が思いを伝えるため、岩手県大槌町に設置された電話ボックスをモチーフにした映画「風の電話」が24日に公開される。出演作が相次ぐモデルで女優のモトーラ世理奈(21)が即興芝居に挑戦し、圧倒的な存在感を見せた。

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 電話線はつながっていないが、「天国につながる電話」として人々に広まり、震災以降の訪問者は3万人を超える風の電話。物語は震災で家族を亡くし、広島県に暮らす女子高生ハルがさまざまな人々と出会い、故郷の大槌町へ向かう旅を描いた。

 言葉少ないハルがたまに感情を高ぶらせる場面は、モトーラ本人の即興に委ねられた。オーディションでは「家族が亡くなる話は苦手。つらくてセリフが言えなくなった」とうまく演じられなかった。だが2回目のオーディションでは即興で演じる審査があり、「自然にハルに入れた。このやり方が自分に合ってると思って、演じてみたくなった」と手応えを感じたという。

 風の電話に思いを吐き出すラストは、10分を超える長回し。重要シーンを控え、ずっとプレッシャーを感じていたが、「事前に言いたいことを準備をするのはちょっと違う。ハルと同じように岩手県まで旅をするうちに、その時感じた思いを言えばいいんだと気付けた」と振り返る。セリフではない等身大のメッセージはドキュメンタリーのようにリアルだ。

 モトーラはじっくりと考え、ゆっくり小さな声で取材に応じ、アンニュイな雰囲気は若手女優の中でもひときわ個性的だ。諏訪敦彦監督も「謎があって見入ってしまう。ただこの人を撮ればいいんだと思えるのは貴重」とほれ込んでいる。

 共演は西島秀俊、西田敏行、三浦友和ら。