指原莉乃支えた「劇場の女神」新成人のHKT上野遥、公演1000回目前に意欲

指原莉乃支えた「劇場の女神」新成人のHKT上野遥、公演1000回目前に意欲

 福岡市を拠点にしたアイドルグループHKT48で、「劇場の女神」と呼ばれる2期生・上野遥が11日、東京であったAKB48グループの新成人記念撮影会に鮮やかなピンク色の晴れ着で登場した。「困っている人がいたら手を差し伸べるということを心にとどめて、すてきな女性になれるように精進したい」と抱負を述べた。先輩であるHKT下野由貴、そしてAKB48の村山彩希とともに、公演出演1000回を目前に控える「鉄人」。当の本人は「通過点に過ぎない」とのスタンスだが、積み重ねた努力に喝采が送られる日が近づいている。

【写真】AKB48グループの成人式で笑顔を見せるHKT48の新成人たち。前列左から深川舞子、豊永阿紀、田島芽瑠、松岡はな、村川緋杏、月足天音、上野遥、山内祐奈、長野雅

 先輩、後輩を問わず目標とされる、キレのある大きなダンス。グループのことを第一に考える「HKTファースト」の精神。「はるたん先生」とも呼ばれる彼女の存在に救われてきたメンバーは多く、あの指原莉乃もその一人だった。

 HKT移籍当初から売れっ子タレントとして多忙だった指原莉乃は東京での仕事がメインで、福岡である劇場公演のレッスンなどに参加できないことが多かった。そんな指原の代わりに振り付けを覚えて、来福時に教える。いわゆる「アンダー」と呼ばれる役割を担っていたのが上野だった。

 指原は、自身が監督したHKT初のドキュメンタリー映画「尾崎支配人が泣いた夜」(2016年)で、そんな上野に光を当てた。劇中、HKTのシングル表題曲を歌うメンバーに選ばれた「選抜」たちが踊るステージを、劇場の隅から複雑な表情で見つめる上野。「(リハーサルで)いつもあそこに立っているのは自分なのに…」。羨望(せんぼう)や意地、様々な感情が入り交じった思いを吐露する姿に、多くのファンが感情を揺さぶられた。映画のエンディングで、テーマ曲の選抜、そしてセンターに上野が選ばれたシーンは爽やかな感動を呼んだ。

 「ねえ、誰かのために、何かしてますか? 陽の当たらない場所で支えてますか?」

 冒頭でそう語りかける映画のテーマ曲「Chain of love」。その歌詞は、まるで上野のアイドルとしての生きざまを語っているかのようだった。16年2月、東京・代々木体育館のコンサート。アンコールで登場し、ピンクの王冠を頭に飾って涙ながらにこの曲を初披露する晴れ姿は、ファンの心に焼き付いている。

 活躍はそこで終わらなかった。17年3月、博多華丸主演の博多座(福岡市)の制作舞台「熱血!ブラバン少女。」に、HKTからただ一人出演。彼女の日々の努力に目をとめた、博多座スタッフ直々の指名だった。主要キャストの一人でもある吹奏楽部の一員「瓜生瑞帆」を演じるためにクラリネットを一から学び、舞台上でも鳳蘭ら名だたるキャストとともに熱演を見せた。

 およそ3週間にわたって舞台に立ち続けた経験は、昨年11月に出演したAKB48グループの舞台「仁義なき戦い」(博多座)の理髪店主人の役でも十二分に生かされ、荒々しい殺陣に挑戦。稽古を別の仕事で欠席した出演者の代役も数多くこなすなど、獅子奮迅の活躍で舞台を支えた。