『エースコンバット7』コトブキヤ1/144「X-02S」レビュー…ディテール強化とロール軸追加で展示しやすさも向上!【ゲーム系プラモって実際どう?】

引用元:Game Spark
『エースコンバット7』コトブキヤ1/144「X-02S」レビュー…ディテール強化とロール軸追加で展示しやすさも向上!【ゲーム系プラモって実際どう?】

コトブキヤの『エースコンバット』関連プラモデル第2弾として2019年11月30日に発売された1/144「X-02S ストライクワイバーン」のプラモデルレビューをお届けします。

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X-02Sストライクワイバーンは、『エースコンバット7』本編に登場するオリジナル機体として、ミッションDLCのトレイラーや公式壁紙などでピックアップされてきました。本編ではミッション18にて初登場。プレイヤーに対して高威力のEMLや鋭い機動を駆使し翻弄します。前進翼を備えており、高速飛行形態では前進翼部分を主翼内に格納すると共に、カナードや尾翼まで可動することで、シルエットが大きく変化します。

X-02Sは、『エースコンバット04』で登場したX-02Aワイバーンの空軍採用モデルに大幅な改修を加えて誕生した戦闘機です。大体のシルエットは似ているものの細部が異なっています。

X-02SとX-02Aの主な外見上の相違点は各種センサーの追加を筆頭に、エアインテークとレーダー、排気ノズルの形状変更、ベルドラルフィンの廃止、コンフォーマルタンク追加と単座から複座へ増設など。PS4移植版『エースコンバット5』のX-02Aを見比べるとパネルラインも含め形状が大きく違うことが分かります。

今回は、この1/144「X-02S ストライクワイバーン」通常版を制作。素組みでの組み立てやプロポーションだけでなく、リベット表現追加などディテールアップを含める完全塗装を施した状態でレビューします。なお、『エースコンバット』関連のプラモデルは、コトブキヤから第1弾として2018年に1/144「XFA-27」がリリース。2020年3月には1/144「ADF-11F」と「ADFX-10」が発売予定です。

1/144「X-02S」素組み編―組み立て難易度は上昇するもEMLやミサイルなど再現性は十分
1/144「X-02S」は、前回の「XFA-27」と同じく一部塗装済みパーツを同梱した通常版と、無塗装で価格を少し下げた「for Modelers Edition」の2種類発売されています。通常版では、可変尾翼とカナード、そして可変翼がそれぞれ2種類づつ塗装済みの状態でパッケージに収められ、大規模な彩色を施さなくても劇中のビジュアルを再現できます(加えて機首のレーダー部分も塗装済み)。

そのため、通常版のパッケージ内にあるランナーは5枚と少なく、パーツを切り離す作業も必然的に少なくなります。組み立て順は、胴体→主脚・前脚→ウェポンベイ→カナード・主翼・尾翼→パイロット・キャノピーです。

パーツの少なさ故に組み立てもある程度簡単ですが、前弾の「XFA-27」より微妙に繊細なパーツが多く、力加減に気を付けなくてなりません。また塗装済みの胴体表面パーツはランナーから綺麗に切り落としてあるものの、ゲート痕が残っているため組み立て前にニッパーなどで除去する必要があります。

胴体そのものの組み立ては簡単ですが、機首下部センサーのクリアパーツが極小で無くしやすいので要注意。加えて、前脚パーツは繊細なため取り付け時に破損の心配があり、駐機状態で展示するなら力加減に気を付けて取り付けることになります。

胴体が完成したら、カナード・主翼・尾翼を左右にそれぞれ取り付け、最後にパイロットとキャノピーを取り付けて完成です。また、支柱パーツには新たにロール軸が追加され迫力ある旋回を表現出来る事が大きな点でしょう。

完成した胴体を眺めてみると、ディテールそのものは前弾より細かく表現されており、一部塗装済みパーツのおかげで素組みでもなかなかの雰囲気です。排気ノズルパーツがメタリック風成型色で構成されていることもポイントですね。

素組みの1/144「X-02S」―無塗装でもディテールの密度はアップ!
素組み完成状態の1/144「X-02S」を眺めてみましょう。ディテールとしては、前回のXFA-27よりパネルラインの線数が増え全体的に引き締まった印象を受けます。ウェポンベイや翼は全て差し替えで構成されていますが、EML展開と収納、高速巡航形態とギアダウン/ギアアップ状態で飾れます。

可変前進翼と可変尾翼、そして機首が一部塗装されているために無塗装でもX-02Sそのものの雰囲気を感じ取れます。

また塗装済みパーツは一部に留まっているため、ゲーム内描写や組説を参考にエンジン部の金属部分やミサイル、タイヤなどを適切な色を筆で塗れば、ゲーム内のイメージにより近づきます。

<cms-pagelink data-text=”「X-02S」に塗装とリベット表現を施し、更なる完成度を目指す” data-page=”2” data-class=”center”></cms-pagelink>

リベット表現追加によるディテールアップ―「X-02S」ミハイカラーの塗装を考える
『エースコンバット7』本編にも登場するX-02S ストライクワイバーン。1/144「X-02S」通常版ではミハイカラーをピックアップし一部が塗装されています。続いては、完全塗装とディテールアップを目指していきましょう。

まずコックピット周辺の塗装です。ゲーム内のハンガーなどから確認すると内部はほぼ黒で構成されています。そのため内部と外部を含めて黒色のサーフェイサーで塗装(つや消しブラックでも可)、座席はカーキグリーン(N80)で彩色しました。機首下部は1/144「XFA-27」と同じく合わせ目が目立つためラッカーパテで隙間を埋めます。

同時に塗装を考えセンサー部分をマスキングゾルで養生。他にも1/144「X-02S」の目立つ隙間はエアインテークパーツと機体下部にもあるので隙間を埋めます。

全体塗装の前にエンジン部分や機体前方の金属を彩色します。塗料には、ガイアノーツのサーフェイサーエヴォ「ガンメタ」を使用。サフ機能を備えたガンメタルカラーなら、1回でサフ吹きと塗装を兼ねることができるためです。他にも、ウェポンベイと着陸装置内を黒サフで吹いた後にC316のホワイトで色をつけます。

X-02Sの合わせ目消しポイントは赤丸の5箇所。この写真は機首とエアインテーク部分、機体下部にある隙間を埋めてヤスリで整形した。
次は、X-02S全体に施されているリベット(鋲)の再現です。ゲーム内のハンガー等で機体表面を拡大してみると一定間隔でリベットが打たれており、表面のディテールが細かく詰められていることが分かります。

リベット表現自体はゲーム内でなかなか目立たないためほぼ無視しても良いディテールですが、パネルラインに沿って打ち込むと細部がより強調されます。今回はクローズアップに耐えられるようにするべく打ち込んでみみました。

ボークスによるRBプロダクション製品の紹介映像。リベットマスターは2分52秒から。
また1/144というスケール上、リベット表現となる穴の大きさと輪郭がオーバースケールとなってしまうために、穴を付ける部分は限定的にします。リベットを打ち込む場所は大まかに見て主翼と主翼付け根のパネルライン、可変尾翼、可変カナード、エンジン部、機首から胴体中央部にかけての膨らみ部分です。

リベット打ち込みには、国内でボークスからリリースされているRBプロダクションの「リベットマスター」を使用。似たようなリベット打ち込みツールはモノクロームの「リベットメーカー」でも可能ですが半径が小さく、回転速度も制御できれば精密な打ち込みも容易です。

赤線がX-02Sにリベットを打ち込んだ大体のライン。大まかな位置はゲーム内で確認した。
リベットの打ち込みを終え、機首とセンサー、コックピット、エンジン、エアインテーク、給油ポート、金属部分をマスキングテープとマスキングゾルで養生したらいよいよ全体塗装に入ります。

機体と翼は黒サーフェイサーで整えます。続いて、裏面はプラスチックの成型色に近いクレオスのMr.カラーC315グレー FS16440で、表面をC393ロシアンエアクラフトブルー(2)で 塗装。胴体部分のマスキングを外し終えたら、翼のオレンジ部の塗装に入ります。

表面の色は最も悩んだ部分。明度が低く濃いグレーとなれば、C305やAVC06ロシアンエアクラフトブルー(1)でも代用出来るのです。今回ロシアンエアクラフトブルー(2)を選んだ理由は、X-02Sが機首から胴体中央にかけてSu-30SMなどロシア機のシルエットに近いことや、エルジアのソル隊カラーがセルジュコフカラーに近いことが理由として挙げられます。想像していたよりも暗めの仕上がりになりましたが、ロシア機のような雰囲気を出せました。半分成功、半分失敗と言ったところですね……。

オレンジ部分の塗装には、一度白か灰サフで下地を整えてから塗装するべきかと悩み増したが、ゲーム内だとグレーの本体色そのままにオレンジを重ねているような描写だったため、それを踏襲するように塗装しました。

裏面のグレー部分から色を重ねる部分はともかくとしても、表面の明度の低いグレー部分は強く透けてしまいました。塗装としては微妙に失敗したようにも思えたものの、許容範囲に発色するまで何度か塗り重ねてみました。最後にタイヤなど一部パーツを筆塗りで彩色し、墨入れとデカールを貼り付けて完成です。

完全塗装+ディテールアップの1/144「X-02S」
塗装を終えたX-02Sを見てみましょう。全体的にはディテールも引き締まりクローズアップにも耐えられるようになりました。主翼やカナードなどが機体から外せるため塗装の難易度はそれほど高くなく、機首やエンジン部のマスキングなど工程が多くなることを除けば容易でした。

ただし、コックピット近くの金属部分をマスキングテープで養生するとかなり細かく切り分けることになるので、作業量や難易度が気になる方は注意しておきましょう。

また、差し替え変形は制作や塗装の難易度を上げる要素にはなっておらず、1/144戦闘機プラモデルとしてのシャープさを活かす方向に働いています。差し込み、取り外し時にもそれほど力を込めなくて良いほどです。

今回はリベットを打ち込みましたが、機体そのもののプロポーションが非常に良いために、無理に調整する必要がない造形です(リベット打ちしなくともパネルラインのディテールが多く、視覚的にも満足感を得やすい)。特に展示ベースにロール軸追加が追加されたことによるポーズ幅の広がりは予想以上に大きく、X-02Sの造形を堪能させてくれます。

機首下センサーのクリアパーツの極小パーツは組み立て時の難所となるかもしれません。今回はひとつのみでしたが、3mmにも満たないパーツはランナーから切り出すときにも扱いにくく、取り付けも簡単ではありません。1/144サイズ故に起きたとも思える難しさです。

模型なので片翼だけ前進翼を開いたポーズもとれる
基本的なアイテムは揃っていますが、贅沢を言えば特殊兵装の対艦ミサイル「スターファイア」と対空ミサイル「ダークファイア」の2種類も何らかの形で欲しかったところ。増槽設定もあるのなら主翼裏の4箇所あるハードポイントも使えたらもっと良かったですね。また、1/144スケールで全長約15cmという小ささから、一部塗装済みの通常版という条件があっても4,800円(税抜き)という価格に若干の割高感を覚えます。

コトブキヤさんのX-02Sストライクワイバーン、遂に発売となりました。ミハイ機とトリガー機、是非思い思いにディスプレイを楽しんでください![kanno]#コトブキヤ#エースコンバット#acecombat pic.twitter.com/F0BIMfJpm1- エースコンバット公式 (@PROJECT_ACES) November 25, 2019
1/144「X-02S」通常版は、ゲーム内で敵として現れるX-02Sそのものが再現。全体的なディテールは前段より向上し組み立ても簡潔でありますが、1/144スケール故に小さく価格的に割高感があるものの、一部塗装済みパーツによってそのままでも大まかな姿を組み立てられるおすすめのプラモデルです。

トランペッターの1/144 F-22Aと並べてみる。こうしてみるとX-02Sは前進翼から角張った印象を強く受ける。
◆使用塗料
■サーフェイサーなど(下地塗装)
・Mr.フィニッシング サーフェイサー1500 ブラック(機体全体、コックピット部分、EML)
・GS-10 サーフェイサーエヴォ ガンメタ(エンジン部分、排気ノズル)
・アクリジョン ベースカラー ベースホワイト(EML赤部分の下地)

■塗料
・Mr.カラー C315 グレーFS16440(機体下面)
・Mr.カラー C393 ロシアンエアクラフトブルー2(機体上面)
・Mr.カラー C59オレンジ(主翼翼端、可変尾翼裏面)
・Mr.カラー C316 ホワイトFS17875(機首レーダー部分、脚部、ウェポンベイ内部、給油口、可変尾翼端・主翼端)
・アクリジョン N12 つや消しブラック(コックピット一部、ミサイル先端)
・アクリジョン N57 エアクラフトグレー(ミサイル基部)
・アクリジョン N80 カーキグリーン(コックピット座席シート)
・アクリジョン N77 タイヤブラック(タイヤ)
・アクリジョン N13 つや消しレッド(EML赤部)
・アクリジョン N1 光沢ブラック(エアインテーク横センサー)
・アクリジョン N8 シルバー(主脚・前脚シリンダー部分)
総合評価: ★★★
良い点

・前弾より向上したパネルラインなどのディテール
・特殊兵装EML「アークライト」が付属
・スタンドにロール軸追加による展示ポーズ幅の拡大
・豊富な差し替えパーツでウェポンベイの開閉と高速飛行形態を再現

悪い点

・極小センサーパーツと、強度が心配される脚部パーツによって組み立て難易度が前弾より上昇
・完成サイズの小ささ(全長約15cm)から感じる割高感 Game*Spark G.Suzuki