実写ゲーム/インタラクティブ・ドラマの歴史

引用元:IGN JAPAN
実写ゲーム/インタラクティブ・ドラマの歴史

昨今、FMV(フルモーションビデオ)と呼ばれる、いわゆる「実写ゲーム」の活況の兆しがある。また映像メディアでは、映像を観賞しながら視聴者がときおり選択肢を選び物語を左右していく「インタラクティブ・ドラマ」も活況だ。

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Steamでは本格派からカジュアルなものから、続々と新作が発表されており、近年のインタラクティブ・ドラマの先駆け的存在『Late Shift』もSteamの日本語化に続き、PS4とNintendo Switchで日本でも発売した。8月には4人の私生活を覗き見る『Telling Lies』、またPS4とスマートフォンを繋げるPlayLink対応の『Erica』がそれぞれ発売している。2018年に発売した殺人ミステリー『The Shapeshifting Detective』は、今年9月末のアップデートで日本語に対応した。
特に活況なのが中国や台湾のインディーゲームで、トレンディドラマ風の探偵アドベンチャー『Visitor 来访者』、実写脱出ゲーム『记忆重构/Memories』、性教育がテーマの『Self-Reliance 自我性赖』、女の子と恋愛する『EnchantedGirl – 纯情房东俏房客』がある。『女神驾到丨Happy together』は『サマースウィートハート』というタイトルで、日本語吹き替えされてNintendo Switchで発売中だ。

また操作パートはフォトリアル、カットシーンは実写を使っているゲームでは、アクション・アドベンチャーの『クォンタムブレイク』、スクウェア・エニックスの問題作『THE QUIET MAN』も忘れてはならない。カットシーンのみ実写というのは実は90年代の欧米では、かなりありふれた表現だが、本作はそういったゲームの美学を引き継いでいるといえるだろう。
UbisoftのPS VR対応の『トランスファレンス』や、Red Candle Gamesの『還願 Devotion』のように部分的に実写が取り入れられている作品も登場している。実写の写真や映像とホラーは相性がいいということだろう。ホラーといえば、国内タイトルでは、日本一ソフトウェアの『クローズド・ナイトメア』や、PS VRの『眠れぬ魂』がある。『眠れぬ魂』は短編映画といった赴きだが、VRを使ったホラー表現はかなり怖い。他にもPS VRタイトルだと、恋愛ドラマ『ハナビ HANA type B』選択肢が表示されるので、インタラクティブ・ドラマの一種だろう。他にもイラストを実写に置き換えて作り直した『√Letter ルートレター Last Answer』は非常に珍しい例だといえる。

こういった実写ゲーム、あるいはインタラクティブ・ドラマは、PS3やXbox 360の時代と比べても明らかに急増している 。 以前にも比べて高価な映像カメラが比較的手に入りやすくなり、しかもHD画質でゲームとして反映できるようにった技術的背景が大きいだろう 。 『ダンガンロンパ』シリーズでおなじみの小高和剛氏による『Death Come True』も発表されたばかりだ 。 ただし、全体的にみるとこういった実写ゲームやインタラクティブ・ドラマは稚拙な作品が非常に多い 。 なぜならゲームデザインと共に、実写の照明や演技、映像面のクオリティが求められるからだ 。 それゆえゲームデザインと映像の比例しなかったり、両方とも稚拙になっていることも珍しくはない 。 『Late Shift』、『ブラックミラー:バンダースナッチ』、『THE QUIET MAN』などは映像クオリティが高いが、この水準を他の作品に求めてはいけない 。 例えば『Visitor 来访者』は、実写パートは中国の学生映画を観ているような楽しさがあるはず 。 実写ゲームは、温かい目で見るのが重要だ 。 『Death Come True』がどういった出来になるのかが注目だろう 。 なお、以上に挙げた作品を一切知らなければ、真っ先に観るべきなのは『ブラックミラー:バンダースナッチ』であることは間違いない 。 インタラクティブ・シネマ?ドラマ?FMV?あまりにも恣意的なジャンル
さて、そんな勢いが増しつつあるインタラクティブ・ドラマだが、定義があやふやなジャンルなのは否めない 。