ついに公開! オスカー有力作『パラサイト 半地下の家族』の鑑賞ポイント

引用元:ELLEgirl
ついに公開! オスカー有力作『パラサイト 半地下の家族』の鑑賞ポイント

カンヌ国際映画祭で最高賞を、ゴールデン・グローブ賞で外国語作品賞を獲得した、韓国映画界の旗手ポン・ジュノ監督による衝撃作『パラサイト 半地下の家族』が、ついに1月10日(金)より全国公開に。そこで、今作に登場する韓国ならではの用語や場所、小ネタをここに解説。知っておくといっそう楽しめて、もう観た人もまた観たくなるかも? ネタバレもほぼナシなので、ご安心を。 ついに公開! オスカー有力作『パラサイト 半地下の家族』の鑑賞ポイント (C)2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED, Getty Images

タイトルにもある“半地下”

日本とは少し異なる、お隣韓国の住宅事情。映画に登場するキム一家が暮らすのは、タイトルにもあるとおり半地下のアパートだが、韓国にはこの家のように“半分地下に埋まった部屋”が数多く存在する。その理由は歴史に深く関係しているそう。
1945年に日本から独立、1948年には南北に分断した韓国。1950年には朝鮮戦争が勃発し、国中が戦火に包まれてしまう。そこで、当時大統領だった朴正煕(パク・チョンヒ)は、北朝鮮と再度戦争になった時のために備えるべく1970年に建築法を改正し、「今後家を建てる際は、防空壕の役割を果たす地下施設を作るように」と義務付けた。これが、半地下住宅の起源となっている。
目線は地面とほぼ同じ高さで、日当たりも悪くジメジメ、Wi-Fiの電波も入りにくくプライバシーも守られにくいが、そのぶん家賃も安い「半地下」は、都市部の貧困層を代表する言葉とも言える。いっぽうお金持ちは、パク一家のように高台に住む人も多い。 ついに公開! オスカー有力作『パラサイト 半地下の家族』の鑑賞ポイント (C)2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED, Getty Images

お高くとまったトイレ

キム家のアパートで、一番高い位置に設置されているのが印象的だったトイレ。半地下に位置するこの家は浄化槽とほぼ同じ高さにあり、下水の逆流を防ぐために、便器がこんな高い場所に鎮座しているのだとか。 ついに公開! オスカー有力作『パラサイト 半地下の家族』の鑑賞ポイント Getty Images

一大ブームを巻き起こした台湾カステラ

ソン・ガンホ演じるキム一家の父ギテクが、過去に失敗した事業のひとつとしてその名が登場する「台湾カステラ」。これは台湾発のスイーツで、その大きさとシフォンケーキのようなフワフワ食感で人気を博し、2016~17年頃に韓国で大ヒット。ソウルを中心に大行列を生み出し類似商品も大発生していたが、とあるTV局が2017年3月に放送したドキュメンタリー番組で、「大量の食用油や添加物を混ぜている」「安い粉ミルクや賞味期限切れの生クリームを使っている」と告発、ブームは即座に終了。その後番組の内容がフェイクだったとされるが、消費者の興味はすでにゼロで、ギテクのような「元台湾カステラ店のオーナー」という肩書を背負った失業者ばかりが増えることとなった。 ついに公開! オスカー有力作『パラサイト 半地下の家族』の鑑賞ポイント Getty Images

庶民の味方、技士食堂

日本でも口コミで大きくヒットした2017年の映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』(こちらもソン・ガンホ主演!)にも登場する「技士食堂(キサシクタン/キサシッタン)」とは、レストラン業態の一種。庶民的なメニューをリーズナブルな値段でしっかり食べられることから、キム一家のような低所得層の味方としても知られる。「技士」=タクシーやバスの運転手をターゲットとしているが、それ以外の人ももちろん利用でき、学生や家族連れにも人気。韓国に行く際には、一度試してみては?