ルフィ役声優・田中真弓「生きた人間を表現できなくなる…」収録での悩みとは?

引用元:TOKYO FM+
ルフィ役声優・田中真弓「生きた人間を表現できなくなる…」収録での悩みとは?

声優・野沢雅子がパーソナリティを務めるTOKYO FMの番組「野沢の雅子さん」。毎週日曜日の夜に、さまざまな人が野沢を訪ねてやってきます。2019年12月22日(日)の放送では、人気アニメ「ドラゴンボール」でも共演している声優・田中真弓さんが訪れました。

◆声優と演劇の“仕事のバランス”

野沢:次に舞台でお芝居やるのって、いつから?

田中:次のはね、2月19日から24日まで。東京・新宿のサンモールスタジオでやっております。もうね、年間7本くらい演劇やってるんですよ。

野沢:すごいね、7本って大変なことじゃない。

田中:声の仕事とのバランスっていうのが大事で。声の仕事ってどうしても、型があったりして、それに合わせなきゃいけない。ブレスのタイミングであるとか、長さであるとか。(キャラクターが)大口を開けていたら開けなきゃいけないし。

野沢:自分で「この芝居はこうしたい!」っていうのを演じるのも違うもんね。

田中:絵が限定されちゃうと、そこに乗せてくしかない。で、100%わかりやすい芝居を要求されるじゃないですか、声優の仕事って。10人いたら10人が“この人は悲しいんだな”“この人は怒ってるんだな”って感じる、そういうことを演じる仕事なので。

だから、声の仕事と(演劇の仕事)のバランスって意味では、自分の肉体を出して演じていないと、自分の表現がわからなくなっちゃうっていうのがあって。それでね、(舞台の本数が)増えちゃうんですね。不安なんですよ。

◆相手役のいない収録は怖い!

田中:どうしても今、やり方として“嫌だな”と思うのは、絵と自分しかいなくて、相手役がいない(収録)。ゲームの録り方もそうなんですけど、相手役がどう出るかっていうことを、わからないのに演じなきゃならないじゃないですか。

野沢:想像だもんね。

田中:それでも楽しいし、そういうのもお芝居ではあるんだけども、それに慣れてしまうと“生きた人間を表現できなくなる”っていう危惧が自分のなかにあって。やっぱり生きてる人間との会話をしたい。

野沢:そうなの、私ときどき思うのよね。「(作品が)でき上がったときに、受け答えがちぐはぐになってることはあるだろうな」って。

田中:それだけ、ディレクターの力っていうのは(大きい)。例えばさ、アクション側のことを限定して、リアクションを先に録っちゃうわけじゃない。そのあとに「ちょっと待ってください。じゃあそれ、聴かせてもらえますか?」って言っても、聴かせてもらえないんですよ。作業が違うらしいんだよね。

野沢:(声のデータを)探すのも大変なんだって。

田中:そうすると(リアクションが)どの程度なのかっていうのを、ディレクターは「いや、そうじゃなくて、これぐらいです」とか「今のだと強すぎます」とか、そういうことをちゃんとわかってくれていないと。悲しいかな、役者が下手に聞こえるよね。

野沢:「(キャラ同士が)絡んでないじゃない!」とかね。聞いている人からしたらね。

田中:だからそこは怖いよね。

野沢:怖い。