大人気シリーズ『真・女神転生』の悪魔合体で学んだ、「仲魔」の愛おしさ

引用元:マグミクス
大人気シリーズ『真・女神転生』の悪魔合体で学んだ、「仲魔」の愛おしさ

「どうぞよろしく」

 我々が普段から何気なく発しているこのフレーズは、なんて事はないごく普通の挨拶です。ところが、1992年に発売されたスーパーファミコン用ソフト『真・女神転生』にハマっていた頃の筆者は、邪教の館で何百回も目にした「今後ともよろしく…」に強い親しみを覚えていました。

【画像】過去から現在まで、プレイヤーを魅了する「真・女神転生」シリーズ(11枚)

 魔界と繋がってしまったがために人間界が超自然的な悪魔に侵食されていくさまを描写した小説「女神転生」。オカルトとSFテイストが上手くミックスされた同作の世界観を下地に作られたゲームが、「デジタル・デビル物語 女神転生」シリーズです。パソコン向けタイトルとしてリリースされたのに続き、ファミコン版、そしてスーパーファミコンへと進出していきます。

 明るい未来が訪れるとは限らないシリアスなストーリーに、古今東西の神々や悪魔を従えて戦う戦略性など、さまざまな独自要素で多くのプレイヤーを魅了。誕生から30年を超えて愛されるコンテンツへ成長し、『デビルサマナー』や『ペルソナ』を含む派生作品も生み出しました。

 昨今では基本プレイ無料のスマートフォン向けアプリ『D×2 真・女神転生リベレーション』が配信されたり、対戦型アクションゲーム『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』に、ゲストキャラクターとして『ペルソナ5』の主人公が参戦するなど、常に刺激的な話題を提供している点も注目に値します。

 そんな本シリーズですが、作品を重ねるごとにブラッシュアップされ、世界観の形成にも深く関わるシステムが搭載されています。それが前述の「悪魔合体」システムです。 大人気シリーズ『真・女神転生』の悪魔合体で学んだ、「仲魔」の愛おしさ 2018年1月にスマートフォンアプリとして配信開始した、『D×2 真・女神転生リベレーション』。悪魔合体システムも継承されている (C) SEGA/ (C) ATLUS

悪魔合体がもたらした思いがけない発見

 筆者がドハマりしたスーパーファミコン版『真・女神転生』を含め、本シリーズ初期の頃から実装されている悪魔合体。文字通り悪魔と悪魔を組み合わせて別の悪魔を創造するシステムで、ゲームを効率よく進めるためにはほぼ必要不可欠でした。

 というのも、『真・女神転生』の場合は戦闘を通じてレベルアップするのは主人公や人間の準主役キャラクターだけ。悪魔が経験値を獲得して成長することはなく、「ピクシーならレベル2、ゴブリンはレベル6」といった具合にレベルが固定されていました。レベルアップしないということは、戦力が上昇しないのと同義。つまり悪魔合体で強力な個体を生み出さなければ、戦力強化を図るのは難しいのです。

 しかし純粋なステータス面の強さはどうであれ、本作には個性豊かな悪魔が多数出現。悪魔と聞けば禍々しさや荘厳な神々の面影を想起しますが、中には「ジャックフロスト」を筆頭に、マスコット的なキャラクターも登場します。

 そうしたカワイイ悪魔やカッコいい悪魔、または単純にデザインが好みの彼らを”仲魔”(パーティーに加えた悪魔)に引き入れた時、自然と湧いてきた愛着からか「悪魔合体の素材に使うのはやめよう」と心に決めました。その理由はもちろん、素材として捧げた悪魔は消えてしまうからです。

 スムーズな攻略のためには強い悪魔へ乗り換えなくてはいけない。でもせっかく相棒に選んだ悪魔を失いたくない……。このジレンマに頭を悩ませた結果、最終的に好きな悪魔を使い続けることに決めました。当然、COMP(悪魔を呼び出すデジタル端末)のストック欄を圧迫してプレイに支障をきたすのは覚悟の上です。

 スポーツで例えるなら、とうの昔に現役を退いた選手を生涯にわたって雇用するようなもの。予想通りにプレイは難航を極めましたが、お気に入りの悪魔と一緒に冒険する楽しさは、悲壮感と焦燥感が漂う本編の攻略に彩りを与えてくれました。

 当時好きだった悪魔を派生作品で見かけると、一緒にピンチをくぐり抜けてエンディングまで駆け抜けた思い出が鮮明に蘇ります。 龍田優貴