三遊亭円楽とタッグを組み「博多・天神落語まつり」を成功に導いた菊田敏明さん

引用元:スポーツ報知
三遊亭円楽とタッグを組み「博多・天神落語まつり」を成功に導いた菊田敏明さん

 2007年に始まった三遊亭円楽プロデュース「博多・天神落語まつり」は昨年13回目を迎えた。東西の人気落語家が集結し毎年11月頭の開催で、初回は2日間11公演でスタートも毎年規模を拡大、昨年は5日間、全38公演で2万5000人超えの動員を誇る“フェス”として定着した。

 プロデューサーを務める三遊亭円楽(69)が「すべて任せている」と全幅の信頼を寄せるのが制作会社「アム・トゥーワン」の菊田敏明会長(64)だ。「昔は福岡で落語会なんて考えられなかった」と菊田さんは言う。知人が福岡で柳家小三治の独演会を開催していたが、知人が急病となり当日、急きょ手伝った。そのまま運営を引き継ぎ魅了された。「あんな面白い落語をもっと広めたい」。06年11月、親交のある円楽(当時・楽太郎)と中州の餃子店でお酒を飲みながら夢を語り合った。「俺は噺家を集めるから、菊田さんは会場を押さえて」。トントン拍子に話が進み、翌年の開催にこぎ着けた。

 「(当時は)素人に毛の生えたようなもの。怖さ知らずでした。知っていたら尻込みしていたと思う」と菊田さん。顔付け(メンバー選出)は円楽に任せ、会場の予約、設営など一手に引き受けた。会場間の移動や楽屋でのホスピタリティーなど落語家の評判もいい。打ち上げは「不良学校の修学旅行みたい」(円楽)と毎晩盛り上がる。そこで若手も含め東西交流が盛んになるなど、落語界全体への好影響も与えている。

 「常にお客様のことを考えました」出ばやしもCDに頼らず、お囃子さんを呼び、寄席文字の師匠を招くなど、ホンモノを提供。高座も金屏風や赤毛せんなどを排し、寄席の雰囲気を味わえるようにこだわった。

 19年に始まった「さっぽろ落語まつり」の関係者も視察に訪れ、今年は新たに熊本での開催も決定するなど規模が拡大している。落語不毛の福岡で始まった「博多・天神落語まつり」は落語界の秋の風物詩となり、大輪の花を咲かせた。(高柳 義人) 報知新聞社