ジャイアンの声で「ドラクエは飽きた」? FCソフト『メタルマックス』の挑戦

引用元:マグミクス
ジャイアンの声で「ドラクエは飽きた」? FCソフト『メタルマックス』の挑戦

 1991年に発売されたファミコン用ロールプレイングゲーム『メタルマックス』はファンタジーが主流の時代に戦車で荒野を駆ける斬新な世界観を打ち出し注目を集めました。 当時はプレイできなかったものの、後にドはまりして大半のタイトルを遊びつくしたゲームライターの早川清一朗さんが、『メタルマックス』への情熱を語ります。

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『メタルマックス』のTVCMで「竜退治はもう飽きた!」という強烈なセリフが飛び出したのは1991年のことでした。明らかに『ドラゴンクエスト』を意識したこの言葉を発したのは、当時『ドラえもん』でジャイアンの声優を担当しておられた故・たてかべ和也さん。「そりゃジャイアンならドラえもんから道具借りれば竜くらい退治できるんじゃない?」と思ったような気もします、たぶん。

 ただ、1991年はファミコンが衰退を始めていた時期でもありました。「PCエンジン」や「メガドライブ」といった高性能なゲーム機も登場から数年が経過し、数多くの名作タイトルが登場していました。特に1989年に「PCエンジン」で発売されたRPG『イースI・II』はCD-ROMの大容量を生かしてアニメーションやキャラクターボイスを実装し、新しい世代の家庭用ゲームの姿を見せつけていたのです。

 既にファミコンの性能がゲームの進化に追いつけなくなっているのは明らかでした。1990年にはファミコンの後継機である「スーパーファミコン」(以下、スーファミ)も登場していた上に、『ドラゴンクエスト』の新作がスーファミで発売されることも発表され、「ファミコンの時代もいよいよ終わりか……」という空気が感じられるようになっていました。

 そんな時代にファミコンの世界に新たに殴り込みをかけた『メタルマックス』のインパクトは、強烈なものがありました。特に筆者の世代は『ノストラダムスの大予言』の1999年で世界が終わる話を真面目に信じている人間がいたり、TVアニメ版『北斗の拳』をリアルタイムで視聴したりしていたので、破滅した世界に一種のリアル感を感じてもいたのです。

 当然、筆者も『メタルマックス』に興味を持ちましたが、この頃にはファミコンカセット購入の優先順位はだいぶ下がっており、購入を見送らざるを得ませんでした。

 実際に『メタルマックス』をプレイしたのは発売から約3年後。「プレイステーション」や「セガサターン」が登場する直前の時期でした。