『アライブ』がん医療のリアルを描く 1月期は医療系ドラマが大豊作

引用元:オリコン
『アライブ』がん医療のリアルを描く 1月期は医療系ドラマが大豊作

 1月期の連続ドラマは、医療系ドラマが目白押し。

▽NHK総合『心の傷を癒すということ』(18日スタート、毎週土曜 後9:00※全4回)主演:柄本佑

【写真】『アライブ』で14年ぶりの共演を果たす松下奈緒&木村佳乃

▽日本テレビ『トップナイフ―天才脳外科医の条件―』(11日スタート、毎週土曜 後10:00)主演:天海祐希

▽TBS『恋はつづくよどこまでも』(14日スタート、毎週火曜 後10:00)主演:上白石萌音 佐藤健

▽TBS『病室で念仏を唱えないでください』(17日スタート、毎週金曜 後10:00)主演:伊藤英明

▽テレビ東京『病院の治しかた~ドクター有原の挑戦~』(20日スタート、毎週月曜 後10:00)主演:小泉孝太郎

▽フジテレビ『アライブ がん専門医のカルテ』(9日スタート、毎週木曜 後10:00)主演:松下奈緒 木村佳乃

 今回ピックアップするのは、『アライブ がん専門医のカルテ』。主人公は横浜みなと総合病院に勤める腫瘍内科医・恩田心(おんだ・こころ/松下奈緒)。腫瘍内科医とは、日本ではまだ比較的数の少ない“がん診療のスペシャリスト”で、すべての部位のがんを取り扱い、患者にとってベストながんの治療法を模索し、化学療法を中心とした診療により、がんと向き合っていく。

 誰に対しても等身大で接する、柔らかで心優しい女性。“治るか治らないかではなく、患者の人生に寄り添うこと”を矜持(きょうじ)に、誰よりも真摯(しんし)にがん患者に向き合い、がんによって傷ついた患者の心までも救おうとする。

 消化器外科医・梶山薫(かじやま・かおる)役で出演する木村佳乃が、「こんなお医者さんがいたらいいなと思えるお医者さん。患者さんに安心を与えてくれる心先生みたいなお医者さんが増えたらいいな」と、話していたほど理想的な医師だ。

 その一方で、3ヶ月前に夫が不慮の事故に遭い、意識が戻らず、入院中という“患者の家族”でもある、という設定。職場では気丈に振る舞っているが、いまだに現実を受け止められずにいるという、医師もまた人である、という側面も描いていく。

 ドラマは、内科医の心と外科医の薫、2人の女性医師を中心に、腫瘍内科の仲間たち――研修医・結城涼(清原翔)、同じく研修医・夏樹奈海(岡崎紗絵)、腫瘍内科医の光野守男(藤井隆)、腫瘍内科部長の阿久津晃(木下ほうか)らと、がん治療の最前線で闘う医師と患者の姿を情感豊かに描いていく。

 年間およそ100万人(厚生労働省発表2016年間の新たな診断例数:99万5132人)の人々が新たに診断され、2人に1人が生涯のうちにかかると言われている、がん。とても身近な病気だが、診断や治療、予防など、がんについての研究は日々進んでおり、知っているようで知らないことは多い。胃がん、肺がん、大腸がんなどさまざまな種類があり、原因も進行も千差万別で、がん細胞の特性、個々の患者の事情によって、治療の選択も変わってくる。

 そんな医療のリアルを描くため、同ドラマでは、日本医科大学千葉北総病院の医師・松本尚さん(医療監修)や、主演の松下が役作りのお手本にしていると語っていた、がん研有明病院の医師・小野麻紀子さん(腫瘍内科監修)をはじめ、これまでの医療ドラマでも例をみないほど、多くの医療関係者が同ドラマの監修に携わっているという。

 その意欲は第1話から十分に感じられた。それは、第1話で、希少な原発不明のがん(※がんが最初に発生した臓器が特定できない転移がん)を抱え、余命3ヶ月を宣告された患者・村井恵子が演じる石野真子の爪を見た時。抗がん剤治療を始めてから、恵子の爪が黒ずんでいるのが見てとれた。抗がん剤の副作用で爪が黒ずむことがあり、それを再現しているものと思われる。細部にまでこだわってドラマが制作されていることが感じられて、第2話以降も期待が高まった。

 余談だが、第1話には、恵子と結婚を約束している山本忠司役で田口トモロヲも出演。この熟年カップルに主人公は「がんの治療は、3つの“あ”、慌てない、焦らない、あきらめないことが大切です」と伝える。この「3つの“あ”」を山本が復唱し、ICレコーダーに録音していた音声が再生されるシーンがあるのだが、声の主は田口である。『プロジェクトX~挑戦者たち~』(NHK)からの『ドクターX~外科医・大門未知子』(テレビ朝日)からの『アライブ』第1話で、田口のいい声を聞いて、思わずニヤリとしてしまった。