ジャンルカ・カシオーリ&新日本フィルハーモニー交響楽団 “1粒で2度美味しい”ベートーヴェン尽くしのステージを堪能

引用元:ぴあ
ジャンルカ・カシオーリ&新日本フィルハーモニー交響楽団 “1粒で2度美味しい”ベートーヴェン尽くしのステージを堪能

アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(1920-1995)やマウリツィオ・ポリーニ(1942-)など、イタリアからは時折驚異的な天才ピアニストが出現する。その天才の系譜を受け継ぐ存在として注目されているのが、1979年トリノ生まれのジャンルカ・カシオーリだ。その才能の凄さは、1997年に発表されたデビュー・アルバムにもしっかりと刻まれている。

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18歳の無名の若者が世界最古のクラシックレーベルにして最高の権威を誇るドイツ・グラモフォンからデビューすること自体驚きである上にその内容が凄い。冒頭にベートーヴェンを置きながら、ヴェーベルン、シェーンベルク、リゲティ、ブーレーズと20世紀を代表する作曲家たちの作品をずらりと並べたプログラムはまさに圧巻。このメニューを手掛ける18歳のカシオーリも凄ければ、これを認めて発売に踏み切ったドイツ・グラモフォンも素晴らしい。

そのカシオーリによるオールベートーヴェン・プログラムとなればこれは気になる。しかも前半はピアノ・ソロによる「6つのバガテル」&「ピアノソナタ第12番(葬送)」。後半はオーケストラのみによる劇付随音楽「シュテファン王」序曲に続いて「ピアノ協奏曲第2番」を披露するのだから、まさに“一粒で2度美味しい”カシオーリのステージが楽しめそうだ。

●公演概要

1月20日(月)すみだトリフォニーホール 大ホール
「ジャンルカ・カシオーリ&新日本フィルハーモニー交響楽団/トリフォニーホール・グレイト・ピアニスト・シリーズ」

●ジャンルカ・カシオーリ(ピアノ)

1979年、イタリアのトリノ生まれ。イモラのピアノ・アカデミーにおいてピアノをフランコ・スカラに、作曲と電子音楽をトリノのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院にて学んだ。94年、ルチアーノ・ベリオ、エリオット・カーター、マウリッツィオ・ポリーニ、チャールズ・ローゼンといった音楽界の重鎮が審査員を務めるウンベルト・ミケーリ国際ピアノ・コンクールで優勝後、ヨーロッパの主要オーケストラから共演依頼を受け、以来、ヨーロッパ、北米、日本の主要な音楽都市で公演を行い、多くの著名オーケストラ、名だたる指揮者との共演は数えきれない。

CDは、3枚をドイツ・グラモフォンよりリリース。02年にマリオ・ヴェンツァーゴ指揮バーゼル交響楽団とシューマンの「ピアノとオーケストラのためのファンタジー」(ピアノ協奏曲イ短調作品54のオリジナル・バージョン)をレコーディング。05年にはショパンの4つのスケルツォをデッカよりリリースしている。

2007/08シーズンはベルリン・ドイツ交響楽団、ベルリン交響楽団、フィルハーモニア管弦楽団などと共演。また、カシオーリは指揮者・作曲家としても目覚しい活躍をしており、カンマーオーケストラ・ベルリンではモーツァルトとシューベルトのプログラムを指揮。00年11月の日本ツアーでは彼自身が作曲した《ピアノ変奏曲》の世界初演を行い、01年にはヴァイオリン奏者ステファノ・モロと自作の《ヴァイオリンとピアノのためのソナタ》の初演を行った。自作の《ピアノフォルテのためのソナチネ(2004)》の初演は04年9月のハンブルク音楽祭で行われ、05年3月にはウィグモア・ホールでイギリス初演が行わている。