「SNSで叩かれるようになって本当にありがたい」萩原聖人がずっと欲しかった麻雀が競技になる手応え

引用元:AbemaTIMES
「SNSで叩かれるようになって本当にありがたい」萩原聖人がずっと欲しかった麻雀が競技になる手応え

 俳優で、麻雀プロでもある萩原聖人が2019年の年末、SNSで叩かれた。麻雀の戦いぶりについてだ。プロ麻雀リーグ「Mリーグ」発展のためにと始めたInstagramで持論を展開すると、その内容についても賛否両論が多数出た。他のプロ雀士の多くが、ファンから寄せられる様々な声に反応する中、萩原は「叩かれるようになってきたことが喜ばしいというか、本当にありがたいんですよ」と微笑んだ。欲しかったのはこの手応え。麻雀が「麻雀」として語られることだった。

【映像】プロ雀士・萩原聖人の2020年初試合(第2試合)

 麻雀におけるテレビ対局のパイオニアと言ってもいい。25年ほど前に放送開始された「THEわれめDEポン」をはじめ、各番組で活躍。当時といえば、プロの対局が今のように多数放送される状況でもなかった。「数少ないメディアで、限られた人しか見られないものでしたからね」。地上波であっても、ほぼ夜遅く。当時の視聴者からすれば、深夜に奮闘する雀士・萩原、という印象が強いだろう。

 四半世紀が過ぎ、今やネット配信を中心に、プロの対局が気軽に見られる状況が整った。「麻雀というゲームのおもしろさ、魅力を分かってもらいやすくなりましたよね」と、長年かかって本質が伝わるようになったことが、何よりもうれしい。それはこれまでずっと「麻雀=ギャンブル」というイメージに、手足を引っ張られ続けたからこその思いだ。ものによっては午前中から生放送があり、アーカイブ視聴であれば、いつでも見られる。それを見てくれる人がいる。視聴が増えるほど、ファンの目も肥えてきた。そしてSNS。今では選手に向けて、いろいろな声が届くようになった。

 麻雀を通じてエンタメを伝えたいと思われがちの萩原だが、そうではない。「麻雀というゲームの中に、エンターテインメント性があるんですよ」という。リーチのみの安い手が、一瞬で大物手に化け、劇的なシーンを作ることもある。対局者は、その魅力を最大限に増幅して伝えるようなものだ。だからこそ、自分に対して批判的な声が寄せられたとしても、それが麻雀の本質について語られたものであればいい。「麻雀が好きってだけで叩かれた時代に比べれば、こうやって一打一打に世の中の人がストレスを感じたり、憤ったり、それから喜んでくれたりするんですから。こんな時代が来たんだなあと思うんですよ」と目を細めて言った。人間がゆえに、その声に腹が立つこともある。寄せられた声が正論だと分かりつつ、あえて選択していないことだってある。複雑な胸中も、麻雀が真剣に語られることを思えば、きれいに洗い流される。

 2年目のMリーグでは、TEAM雷電の選手として優勝を目指し、戦いを続ける。その戦いぶりに、また多くの声が届くだろう。「世の中には“神様”が多くてね。神様を納得させるのは、なかなか大変なんですよ」と苦笑いしたが、そんな神様であるファンたちの心を揺さぶる麻雀を見せるために、萩原はその指に全ての思いを込める。