「教場」で白髪姿 キムタクの“座長力”は47歳でも健在だった

「教場」で白髪姿 キムタクの“座長力”は47歳でも健在だった

 人気芸能人には、アンチも数多く存在する。木村拓哉という、美しかった青年も今は47歳。若者にいじられるオジサンだ。1月4、5日に二夜連続で放送されたフジテレビ開局60周年企画ドラマ「教場」には白髪で登場した。

 女性芸能人が結婚、出産して年相応になっていくと、ネット上ではすぐに「劣化」という言葉で傷つけるが、男性に対してはそんなに多用されない。女性のファンは優しいから、結婚して“ロス”は感じるものの、子どもができても、しわや白髪が増えても、お腹が出ても、おおむね寛容なのだ。

 そういった優しい温かい目で見ると、昨年放送された「グランメゾン東京」(TBS系)の木村は、キムタクのままだった。

 本人の耳にも「何をやってもキムタク」という声は入っているようだが、筆者も、何をやってもキムタク臭さが鼻につき、視聴率が高い過去の数々のドラマも熱狂的に好きではなかった。

 ただ、「グランメゾン――」では、鈴木京香(51)、沢村一樹(52)など、周りの俳優陣もそこそこの年齢で、オバサン、オジサンだ。かといって、このオバサン、オジサンは元気で諦めない。ミシュランの星を目指す料理の世界では、若い=体力があるというだけで、評価はされない。

 そういう現場で評価されるのは、共演者・スタッフとうまくやっていく力だ。

 ドラマによって見方はいろいろあるだろうが、木村拓哉は制作スタッフなど周辺の人間からの評価が高い。飛び抜けて演技力が高い俳優とは思えないが、「現場での誠実さ」「カメラやレンズを通してみると分かる華やかさ」「演技以外の振る舞いが求められる所作での器用さ」は、画面から伝わってくる。ドラマを、主演を座長とした舞台公演だととらえれば、彼の“座長力”は素晴らしいのだろう。

 役だからと分かっていても、「グランメゾン――」での挫折を経験した天才シェフの役は、腹が立つほどふてぶてしくて生意気で、キムタクだ。

 その反面、優しく、仲間を思いやることのできる面もある、キムタクだ。ファンは「やはりそのままだ」と思って歓喜するだろうが、やはりアンチは「何をやっても」と叫ぶだろう。

 このままでいいのか、変わらなくてもいいのか? キムタクは悩みながらも年を重ね、今年も彼なりに誠実に演じ続けるしかないのかもしれない

(コラムニスト・君野那波)