進化する「アニクラ」がナイトエンタメを活性化

引用元:オリコン
進化する「アニクラ」がナイトエンタメを活性化

 アニソンばかりが流れるクラブイベント=アニクラ(アニソンクラブ)。クラブなのに客の99%がオタクであり、思い思いのコスプレ姿で音楽とその空間を楽しむ。アニクラは、いま普通のクラブより客が入り、各地で大小のさまざまなイベントが盛り上がっている。2018年から『Anime Rave Festival』シリーズを立ち上げるなどシーンの拡大と活性化を仕掛け、さらに2019年よりインバウンド需要の取り込みをねらう『OMOTENASHI BEATS』という新たな取り組みを開始したエイベックスに、アニクラシーンの秘めた可能性を聞いた。

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■アニソンへの強い需要が生んだ「アニクラ」という現象

 アニソンは、たとえばヒップホップやEDMといった意味での「音楽ジャンル」ではない。TVアニメのオープニング・エンディングやキャラクターソングを含めたアニソン全般に限定したとしても、純粋な音楽ジャンルとして捉えたときには、実に多種多様な方向性が入り混じる豊潤な世界が広がっている。加えて、ゲーム系、ボーカロイド系、声優アーティスト作品など、隣接するさまざまな音楽が流れるのがアニクラだ。

「おしゃれすぎて近寄りがたい」「なんとなく怖そう」といったクラブカルチャーのイメージとはまったく異なり、アニクラに集まる人々はそのほとんどがオタクであり、似通った趣味を持つ未知の仲間たちと同じ空間を共有できることが最大の魅力。声優アーティストのパフォーマンスを楽しむアニソンライブ会場の盛り上がりとはまたちがう、アニソンを大音量で思い切り堪能できる場として人気が高い。一般のアニソンファンがオーガナイザーになるようなごく小さなイベントから、本格的な大規模イベントまで、数多くのアニクラが地方都市を含めた全国各地で行われている。

「アニクラシーンの隆盛の大きな背景としては、近年のアニソン関連ライブの人気の高まり、一般化と連動していると思います。家でひとりで楽しむのもいいけれど、リアルな場で大勢と一緒にアニソンに浸る体験の喜びを再発見している。私自身は、アーティストをマネジメントする立場にずっといて、アニメど真ん中というわけではなかった。元m.o.v.eのmotsuを担当するようになってから、初めて本格的にアニクラというものを知ったのですが、ひとつの空間で好みの音楽に触れ、踊ったり会話したりお酒を飲んだり、という意味では、普通のクラブイベントと変わらないと感じました」(日光和也氏)