乙武洋匡「義足で歩きたいとは思わない」…それでも“義足プロジェクト”に参加した理由

引用元:TOKYO FM+

脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMの番組「Dream HEART」。11月16日(土)の放送は、乙武洋匡(おとたけ・ひろただ)さんをゲストにお迎えしました。

早稲田大学在学中に「五体不満足」を出版し、600万部を超えるベストセラーを記録した乙武さん。卒業後はスポーツライターや教員、東京都教育委員などを経験し、現在は執筆、講演活動のほか、インターネットテレビ「AbemaTV」のニュース番組「AbemaPrime」のMCとしても活躍しています。11月1日(金)には、最新技術を搭載した義足を用いて歩行に挑戦する「義足プロジェクト」の全容を追った著書「四肢奮迅」(講談社)を刊行しました。

◆義足を使いこなせるようになったとしても…

茂木:3歳ぐらいまで、義足を使おうと試みたことがあった乙武さん。子どものときは義足が嫌で、使わない生活を選ばれたわけじゃないですか。今の姿で普通学級に行き、ずっと歩まれてきたわけですよね?

乙武:はい、そうですね。

茂木:そのなかで、今回あえて「義足プロジェクト」に向き合ったのは、どんな思いからですか?

乙武:「乙武さんも、実はやっぱり歩きたいっていう思いがあったんですね」と、誤解をされることが多いんですけれども。
正直なところを言うと、私自身“歩きたい”という思いを、そんなに抱いてきたわけではなかったし、今、一生懸命トレーニングしていますけども、このプロジェクトがある程度成功して、私が義足を使いこなせるようになったとしても、おそらく私の生活のベースは電動車椅子のままだと思うんです。

茂木:使いこなしてらっしゃるし、便利なわけですもんね。

乙武:そうなんですよ。3歳の頃から40年間、これで生活をしているので。正直、ハードなトレーニングを積んで、義足で歩けるようになりたいという個人としての願望はないんですよね。

茂木:自己肯定感とおっしゃいましたけどこの車椅子での生活が、完全に馴染んでいらっしゃいますもんね。

乙武:そうですね。私の足代わりとして一心同体で生活してきたので。自分からは、“二本足で歩けるようになりたい”とは、思わなかったんですね。