市川右團次 W杯開会式の親子連獅子「夢かなった」“完全版“名古屋で披露へ…右近はラグビーより歌舞伎?

引用元:中日スポーツ

 歌舞伎俳優の市川右團次(56)と長男の市川右近(9)が来年3月25日、名古屋市・日本特殊陶業市民会館ビレッジホールで開催される歌舞伎舞踊公演「伝統芸能 華の舞」で地方公演初の親子共演を披露する。演目はラグビーW杯日本大会の開会式でも披露した「連獅子」で、右近は最年少で“完全版”に初挑戦する。

 獅子の子落とし伝説や豪快な毛振りなどで有名な歌舞伎舞踊「連獅子」。右團次と右近はW杯開会式で“短縮版”を披露して大会を盛り上げた。右團次は「右近はまだ9歳。果たして務まるものかと非常に懸念していたけど立派に務めてくれた」と感謝。この成功が今回の“完全版”初挑戦につながった。「今の歌舞伎役者の中で、たぶん9歳で子獅子を全編踊っている人はいないと思う。右近が最年少になると思う。そこも見どころの1つ」

 右團次にとって右近との共演は「46歳の時の長男なので早くしないとと思っていた。夢がかなった」という特別な思いもある。右團次が市川猿翁(79)に師事して、弟の市川段四郎(73)と初めて「連獅子」を踊ったのが18歳の時。「師匠が足の骨を折って完治していなかったので、弟の段四郎さんと踊った。僕にとっても思い出深い作品。それを今回、二代目市川右近を名乗ってくれた息子と一緒に踊れるというのは非常に感慨深い」

 ブログでも仲良し親子ぶりを明かしているが、右近は「家では優しいけど、稽古は厳しい」とキッパリ。師匠の猿翁から「ほめられたことがない」という右團次は「今回は“継承”がテーマ。師匠から受け継いだものを未来に伝えていく。厳しい稽古を通じて親子の情愛を深めていければ。こっちは日に日にできないことが多くなっていくけど、子どもはどんどんできるようになる。彼の可能性に期待してます」と意気込む。

 右近はW杯の前にTBS系ドラマ「ノーサイド・ゲーム」でテレビ初出演。ラグビーをやりたくなったのでは?と尋ねてみたが、黙ったまま首を横に振った。右團次は「まぁ、どう言うかなと思ったんですけど…」と安堵(あんど)の表情も。歌舞伎の道にまい進する親子が子獅子を谷底に突き落とす伝説さながらの猛特訓を経て、歴史に残る舞台をみせてくれそうだ。

 地方巡業「伝統芸能華の舞」は3月10日から25日まで全国10カ所17公演で、演目は「連獅子」のほか「吉原雀」と「二人椀久」。名古屋公演のチケット一般販売は12月7日から。