史上最低の烙印を押され…NHK大河「いだてん」最大の敗因

史上最低の烙印を押され…NHK大河「いだてん」最大の敗因

 NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(全47回)の平均視聴率が大河ドラマ史上歴代最低となる8.2%に終わった(関東地区・ビデオリサーチ調べ)。

 大河ドラマには珍しい近現代が舞台、前半と後半で主人公が異なるダブル主演、脚本家・宮藤官九郎の手による時代を行き来する複雑な展開、そしてナレーションのビートたけしの声の聞き取りにくさ……この1年にわたり、さまざまな要因が指摘されてきた。

 さらに強力な裏番組にも悩まされた。「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系)や、“大河の視聴者である高齢者が移った”といわれた「ポツンと一軒家」(テレビ朝日系)などが立ちはだかった。作家の麻生千晶氏はこう話す。

「低視聴率の原因として、よく『高齢者が時代劇に求めるものと違った』と分析されていますが、決してそんな話ではないと思います。私はクドカンさんの才能は認めていて『あまちゃん』は大いに評価していましたが、今回は、あまりに時代というものを理解していなかった。最終回にしても、演出というのも分かりますが、当時の天皇、皇后両陛下がご観覧される中、戦後19年しか経っていない日本で、悲願である五輪の開会式の裏側があんなにドタバタした展開ではなかったはずです」

 麻生氏は「ドラマ全体として、あまりにもバラエティー化して、おもしろおかしく見せすぎていた。やはり落語とくっつけていたことに無理があった」と話す。

 さらに、2度も出演者の不祥事に見舞われ、撮り直しや再編集を余儀なくされるなど、運にも見放されていた。3月には、出演するピエール瀧(52)が麻薬取締法違反容疑で逮捕され、10月には同じくチュートリアル徳井義実(44)が、東京国税局から1億3800万円の申告漏れなどを指摘され、芸能活動自粛に追い込まれていた。

■N国が追及の可能性も

 低視聴率と出演者の不祥事に、一時は番組打ち切りまで取り沙汰されていた同ドラマだが、評価すべき点を指摘するのはコラムニストのペリー荻野氏だ。

「独特のテンポや演出に離れていった大河ファンが多いのは分かります。しかし、従来とは違う、いろいろなメッセージを入れ込んで、“新しい大河をつくろう”とした心意気は買いたい」

 荻野氏は、視聴率的には確かにボロボロだったが、一部の視聴者にとっては印象に残っただろうとこう話す。

「やはり今までの大河とは一線を画していたのかも知れませんが、出演者の他の人を主人公にしたスピンオフドラマなどが見てみたくなった人も多いでしょうね」

 満身創痍ながら、ともあれ完走した「いだてん」。しかしながら、「誰も見ていないドラマに莫大な制作費=受信料をつぎ込んでいるとN国の追及材料にされる懸念もある」(NHK関係者)。

 “歴代最低”という烙印は消したくても消えない。