円谷プロのアニメ情報も続々!庵野が「シン・ウルトラマン」のデザインに込めた思いも

円谷プロのアニメ情報も続々!庵野が「シン・ウルトラマン」のデザインに込めた思いも

円谷プロダクションによるイベント「TSUBURAYA CONVENTION 2019」が本日12月14日に東京・東京ドームシティで開幕。本記事では同日行われたオープニングセレモニーの模様をレポートする。

【写真】円谷プロダクションの代表取締役会長兼CEOの塚越隆行氏。(メディアギャラリー他17件)

セレモニー冒頭では円谷プロダクションの代表取締役会長兼CEOの塚越隆行氏が登壇。開会の挨拶と、先日発表されたマーベル・エンターテイメントとのプロジェクトや2020年3月に開催する上海でのステージショーの紹介を行った。続くアニメ「ULTRAMAN」のプログラムでは、神山健治監督、荒牧伸志監督が登壇。地上波放送の決定を受け、神山監督は「新たに多くのお客さんに観てもらえるんじゃないかとワクワクしています」、荒牧監督は「Netflixで13本まとめて観てもらえることも新しい体験でしたが、毎週1本ずつ同じ時間にみんなに観てもらうことで、新しい反応が来るのでは」と期待を語った。

制作が決定しているシーズン2について、神山監督は「早速準備に入っていまして、原作をベースに脚本に着手しています。このシリーズはやっぱり新しいキャラクターが次々登場していくところが面白さの1つなので、どういう形で登場させていくか、荒牧監督と相談しながら進めています」と進捗を報告。また原作者である清水栄一、下口智裕からのビデオメッセージも上映され、シーズン1の感想やシーズン2への期待が語られた。さらにスペシャルゲストとしてウルトラマンスーツ、セブンスーツが現れると、両監督は初披露のセブンスーツに興味津々。荒牧監督は「我が家に1つ欲しいですね」と笑顔を見せ、神山監督が「ウルトラマンのほうは何度もお会いしてるんですが、セブンスーツは初めてなので……」と口にすると、どこか寂しそうな様子を見せるウルトラマンスーツに、客席からは笑い声が起こった。

2018年に放送されたアニメ「SSSS.GRIDMAN」の新情報として、円谷プロダクションとTRIGGERによる新作アニメ「SSSS.DYNAZENON(ダイナゼノン)」の制作が発表されると、観客は驚きの声を上げ、登壇した雨宮哲監督に大きな拍手を贈る。雨宮監督は「SSSS.GRIDMAN」のファンにも、初めて観る人にも楽しんでもらえる作品を目指すと語り、「まだ先になると思いますが、よろしくお願いします」と挨拶した。

オリジナルCGアニメ「KAIJU DECODE 怪獣デコード」のプログラムでは、この場限りという特別映像もお披露目。登壇した円谷プロダクションの隠田雅浩プロデューサーは「とっても謎めいていたと思うのですが、私たちがこれから作ろうとしているものでやりたいことが込められているんです。最後に出てきた“繭”は、物語においても意味を持ってきます」と映像について説明し、東映アニメーションの野口光一プロデューサーは「怪獣もののアニメってなかなかないなと思い、隠田さんに『ぜひ一緒にやりましょう』と声をかけるところからスタートしました。なかなか東映と円谷は組めないので(笑)、説得に4、5年かかってしまったんですが」と企画の経緯を語った。発表の時期について聞かれると「がんばって『シン・ウルトラマン』に合わせたいですよね(笑)」と顔を見合わせる2人。隠田プロデューサーは「東映アニメーションさんと一緒にやることに、とてもワクワクしています。これから何が出ているのか今後期待していただければ」とメッセージを贈った。

セレモニーの最後を飾ったのは映画「シン・ウルトラマン」。ステージには“ウルトラマンになる男”役の斎藤工、樋口真嗣監督が登壇し、斎藤は「“ウルトラマンになる男”、斎藤工です」と挨拶して観客を沸かせた。ウルトラマンにまつわる思い出を尋ねられた樋口監督は「物心ついた頃に再放送をやっていて、それを浴びるように観て育ちました。でも親が厳しくて、小学校に入る前に怪獣の人形を全部捨てられてしまったんです。その経験が自分の心に大きな穴をあけて、それを埋めるために今があるという感じです(笑)」と回想。斎藤は「テレビや映画、人形などの遊び道具を与えられなかったんですが、実は父が映像業界で仕事をしていて、『ウルトラマンタロウ』の現場にいたんです。なのでウルトラマンのフィギュアだけが家にあって、僕の唯一の遊び道具でした」と幼少期の思い出を明かした。

1966年から1967年に放送された特撮ドラマ「ウルトラマン」を、庵野秀明による企画・脚本で映画化する「シン・ウルトラマン」。その名の通り“ウルトラマンになる男”を演じることについて斎藤は、「“壁ドン”とかしてきた人間なので(笑)、まさかウルトラマンに変身する人生だとは思っていなかったです」と語り、「物語の内容はお話しできないのですが、『あ、だから僕がやるんだ』って理由がそこに書かれていた気がしました。不思議な体験をしました」とファンの期待を煽った。

さらにステージでは「シン・ウルトラマン」に登場するウルトラマンのデザインと、製作途中のスタチューもお披露目。さらにデザインについて、庵野からのコメントも読み上げられた。庵野は「成田亨氏の描いた『真実と正義と美の化身』を観た瞬間に感じた「この美しさを何とか映像に出来ないか』という想いが、今作のデザインコンセプトの原点でした」と切り出し、そのために行ったこととして「成田氏が監修した、佐々木昭氏制作によるマスク」「成田氏が望んだ、古谷敏氏の体型データをベースとした体躯」「成田氏が望まなかった、眼の部分に覗き穴を入れない」「成田氏が望まなかった、スーツ着脱用ファスナーに伴う背鰭を付けない」「そして、成田氏が望まなかった、カラータイマーを付けない」と羅列すると、そのこだわりに会場に集まったファンからも温かい笑い声が起きた。最後に斎藤は「令和の子供たちだけではなく、大人たちにも必要な作品が生まれようとしています。オリンピック後の日本、東京がどうなっていくのか、真価が問われる。そんな時代に必要な作品になると期待しています」とメッセージを贈り、オープニングセレモニーを締めくくった。

■ 庵野秀明(企画・脚本)コメント全文
□ 「シン・ウルトラマン」の「ウルトラマン」について
成田亨氏の描いた『真実と正義と美の化身』を観た瞬間に感じた「この美しさを何とか映像に出来ないか」という想いが、今作のデザインコンセプトの原点でした。

我々が『ウルトラマン』というエポックな作品を今一度現代で描く際に、ウルトラマン自身の姿をどう描くのか。
その問題の答えは、自ずと決まっていました。
それは、成田亨氏の目指した本来の姿を描く。現在のCG でしか描けない、成田氏が望んでいたテイストの再現を目指す事です。
世界観を現代に再構築する事は挑戦出来てもあの姿を改める必要を感じ得ず、成田亨・佐々木明両氏の創作したオリジナルへの回帰しか、我々の求めるデザインコンセプトを見出せませんでした。

その為に―――

『真実と正義と美の化身』と成田氏が当時から後年にかけて描いていた様々なウルトラマンのイメージを踏襲し融合し再構成させた新たな体表のライン。
成田氏が監修した、佐々木明氏制作によるマスク。
成田氏が望んだ、古谷敏氏の体型データをベースとした体躯。
成田氏が望まなかった、眼の部分に覗き穴を入れない。
成田氏が望まなかった、スーツ着脱用ファスナーに伴う背鰭を付けない。
そして、成田氏が望まなかった、カラータイマーを付けない。

と、いう作業を行った結果が今回のデザインです。
ウルトラマンの美しさに、少しでも近づきたいという願いから生まれた姿です。
この想いが、わずかでも観客の皆様に伝わる事が出来れば、幸いです。