テレビ朝日に受け継がれる破天荒ディレクターの系譜 天空のヒマラヤ部族に潜入

引用元:オリコン
テレビ朝日に受け継がれる破天荒ディレクターの系譜 天空のヒマラヤ部族に潜入

 テレビ朝日系で以前放送されていた『陸海空 地球征服するなんて』で南米アマゾンに暮らす部族に体当たり取材を行い、芸人以上に型破りな行動を見せて視聴者に衝撃を与えた“ナスD”こと友寄隆英ディレクター。その彼が、「残念ながら勝てなかった。もう1回、チャンスをください」と仰ぎ見る伝説のディレクターがいる。『ニュースステーション』(1985年10月~2004年3月)の取材ディレクターとして活躍した元テレビ朝日局員の大谷映芳氏だ。

【写真】「ナスD」の由来となったナス色だった頃

 テレビ朝日開局60周年記念”の特別企画として8日に放送されるドキュメンタリー特番『氷と雪に閉ざされた秘境の地 天空のヒマラヤ部族 決死の密着取材150日間』(後8:53~11:26)は、“破天荒D”の友寄氏と“伝説の辺境D”大谷氏がタッグを組み、“アジア最後の秘境”ともいわれるヒマラヤ最奥の聖地、ネパール・ドルポに暮らす人々の“今”を、四季を通して取材。何世紀もの間、変わらない、その暮らしぶりを紹介する。

 日本から約5000キロ離れた、富士山を超える高度4000メートルに位置するドルポ地方。その中でも最奥にある集落、ティンギュー村が今回の目的地。標高5000メートル以上の3つの大きな峠を徒歩で越えなければならず、たどり着くまでに最悪1ヶ月かかる、まさに辺境の地だ。今回、2018年10月末から19年12月までの期間に4回、季節ごとに現地を訪れ、-40度まで下がることもある厳冬期にも取材を敢行。カメラを回すこと計150日に及んだ。

 実は、約25年前、日本のテレビ局で初めてドルポを取材して紹介したのが、『ニュースステーション』の大谷氏。世界第2の高峰“K2”の西陵世界初登頂、パキスタン・ラカポシ北稜初登攀を果たすなど数々の功績を残し、南米のギアナ高地、パタゴニア、チベット、ブータンなど世界の秘境VTRを100本以上制作。辺境ディレクターの異名を取った。過酷な海外取材を手がけ、そのほとんどに自ら出演するスタイルは、ナスDにもつながる破天荒ディレクターの先駆けだ。

 大谷氏が手がけた『ニュースステーション』の辺境シリーズを、子どもの頃に見ていたという友寄氏。「子どもの頃、テレ朝の局員が秘境辺境にいく企画があったことは覚えていたんです。今回、当時のVTRを見直して、やっぱり見たことあったな、と思いました」。

 それから30年くらい経って、一緒に取材に行くことになるというのはなんというめぐり合わせだろう。

 「大谷さんは学生の頃から登山をしていて、就職先がたまたまテレビ朝日だった。K2西陵を世界初登頂できるすごい登山家がテレビマンになった。僕は主にバラエティー番組をずっと担当してきて、いまアマゾンやヒマラヤで冒険している。真逆なんです。だから今回、一緒に取材に行くことができてすごく楽しかったですし、知らないことをたくさん教えてもらいました」(友寄氏)。