新型コロナでイベント中止なのに…政治資金パーティーだけOKなんて許せん! 桂春蝶の蝶々発止

引用元:夕刊フジ

 【桂春蝶の蝶々発止。】

 新型コロナウイルスについては、いろいろ言いたいことがあります。「小規模イベント」を中心に生活をしている噺家の立場で、今回は語ってみましょう。

 文化イベントの中止要請で、われわれは壊滅的打撃を受けました。生活も危なくなった芸人も多いと思います。イベント会社は倒産するところもあるでしょう。

 そのくせですよ、自民党の秋葉賢也首相補佐官が26日夜、地元の仙台市で政治資金パーティーを開いていたって言うんです。これは政権与党が転覆するくらいの大不祥事ですよ。

 政治資金パーティーはやって、文化イベントは中止させる? こっちはコツコツ築きあげてきて、皆さんが笑顔になって喜んでもらえる「文化」をつくっている。

 政治資金パーティーに文化は微塵もないです。でもそれはやる? 何なんですか? この国の政治家って!

 大規模イベントは中止…なのに東京マラソンはやるって? なぜなら、「選手が200人程度だから、大規模ではない」って。バカもの! 沿道に何人集まると思ってるんだ(笑)。

 要は、東京五輪に関わることなら全部やりますってことですよ、これは。聖火リレーも絶対に止めません。「五輪とアンタらやってるイベントを同等に並べないでくださいねー」ということですか? 「五輪中」を「ごりんじゅう」と読んでやりたくなりますね。

 マスコミも、「新型コロナウイルスなんて、インフルエンザの親戚ですわ」って言ったらいいのに。国内では肺炎では年間12万人も亡くなってて、インフルでも1万人死んでるんですよ。悲しいけど、事実です。いまの世の中、過剰反応しすぎじゃないですか。

 人生には辛いことも多い。だから、生きているこの一日、その時間を、文化やスポーツで楽しむんです。そこに救いがあるんです。それを無くしたら、もう人間じゃなくなりますよ。

 例えば、毎年、「これだけのインフルエンザが蔓延(まんえん)しています!」と報道したら、結局、人間の心が恐怖に「パラサイト」されて、みんな地下のシェルターに逃げ込みますわ。「半地下の家族」の出来上がりですよ(笑)。

 しかし、生活費、どうしよ? ストレス満開です。尾崎豊ではないけど、盗んだバイクか車で走り出したくなりますねぇ(笑)。車種は何かって? そりゃー「新型コロナ」でしょ!

 ごめんなさい、今回の「蝶々発止」は単なる愚痴でした。笑って許して、アッコロナ。

 ■桂春蝶(かつら・しゅんちょう) 1975年、大阪府生まれ。父、二代目桂春蝶の死をきっかけに、落語家になることを決意。94年、三代目桂春団治に入門。2009年「三代目桂春蝶」襲名。明るく華のある芸風で人気。人情噺(ばなし)の古典から、新作までこなす。14年、大阪市の「咲くやこの花賞」受賞。