韓国バンドHYUKOH、アート集団へと進化を遂げた濃厚なステージを披露

引用元:オリコン
韓国バンドHYUKOH、アート集団へと進化を遂げた濃厚なステージを披露

 韓国発ロックバンドのHYUKOH(ヒョゴ)が、世界42都市のワールドツアーに先駆け、2月18日~24日にかけて福岡・大阪・名古屋・大阪の4都市5公演の日本ツアーを開催した。今ツアーでは、ステージの全方位を白で囲んだ空間をライティングで染め上げ、メンバー全員が統一の衣装でオブジェのように佇むという、音と光と影によるアート的世界観で観客を魅了した。

【ライブ写真】アート映画のようなステージ演出で楽曲を引き立てたHYUKOH

 4都市のラストとなった新木場スタジオコーストでの2DAYS公演は、ステージ前方に紗幕がかけられ、淡い光に照らされたメンバーがぼんやり浮かび上がるなかライブがスタートした。

 2曲目「Hey Sun」で紗幕が振り落とされると、黒のデザインマスクで顔を覆ったメンバーが登場。曲が終わるとマスクを脱ぎ捨て、ニューアルバム『through love』のリード曲的存在「Help」でリスタート。ボサノバテイストに合わせてメンバーが楽しげに体を揺らすと、観客も思い思いに揺れ出した。

 ライブ定番曲の「Wanli(万里)」から「Citizen Kane」への流れは視覚的にも圧巻。「Wanli(万里)」でスモークが真っ赤に染まるなか、シルエットだけのオ・ヒョクがハスキーな歌声を響かせ、「Citizen Kane」では軽快なサウンドに合わせてカラフルな光が踊るようにステージを彩った。

 ライブ中盤の「New Born」では背面の白幕が落とされ、逆光に照らされたメンバーがひたすらノイジーなサウンドを5分以上ループ。代表曲のひとつ「Love Ya!」では、客席エリアにも淡いピンクの明かりが落とされ、ピースフルな曲の世界に会場が一体となっていた。

 こうしたライティングを含めたステージ演出は、ミュージカル等を手がける韓国の演出家によるもので、リーダーのオ・ヒョクと話を重ねて曲ごとにストーリーを持たせたという。

 また病気療養中で不参加となったドラムのイ・インウの代わりにサポートを務めたのは、マルチプレーヤーのJNKYRD(ジャンクヤード)。ヒョゴのレコーディングエンジニアも務め、ヒョゴのサウンドを熟知している存在だ。すべてインウの生音をサンプリングしたという打ち込みやMPCプレイでリズムを再現、ドラム以外のパートも打ち込みに合わせ全員で編曲し直し、既存曲も新たなアレンジで聴けたのも今回のライブの大きな特徴だ。

 MCで「アルバム『through love』を発売しました。すべてのものを愛するという意味を込めました」と、メモを見ながら訥々とした日本語で話したオ・ヒョク。愛の詰まった濃厚なステージは、音楽はもとよりアート集団として進化を遂げたチーム・ヒョゴの姿を目撃できた90分だった。

 日本ツアーを終えたHYUKOHは、3月下旬はアジア6都市、4~5月はヨーロッパ16都市、6月末~7月は北米15都市の公演を控えている。