『ウルトラセブン』動かざる敵との戦いにスタッフも苦戦 21話「海底基地を追え」

引用元:マグミクス
『ウルトラセブン』動かざる敵との戦いにスタッフも苦戦 21話「海底基地を追え」

 1968年2月25日に特撮TVドラマ『ウルトラセブン』の第21話「海底基地を追え」が放送されました。この回に登場する「アイアンロックス」は戦艦大和をモデルとし、怪獣らしからぬ艦砲射撃などの奇抜な攻撃でセブンを苦しめました。果たしてセブンは水上で戦艦相手にどのような戦いを繰り広げたのか、ライターの早川清一朗さんが語ります。

【画像】セブンを苦しめた怪獣たち(6枚)

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 ウルトラシリーズの怪獣は動物や植物をモデルにしていることが多いのですが、時々無機質的な存在も登場します。それらの怪獣は『ウルトラQ』の「バルンガ」、『ウルトラマン』の「ブルトン」、『帰ってきたウルトラマン』の「プリズ魔」、『ウルトラマンマックス』の「完全生命体イフ」第1形態など、特殊な能力を持つ存在として描かれていることが多くあります。

 こういった怪獣は脚本家の独創的な発想によって生まれることが多く、例えば「プリズ魔」は朱川審氏(俳優、岸田森のペンネーム)による、「特撮でなければできないものを作ってみたくなった」という理由で誕生しました。

『ウルトラセブン』にも「アイアンロックス」という戦艦大和の残骸を用いた怪獣が登場し、セブンを苦しめます。以前、「アイアンロックス」は東宝の『連合艦隊長官 山本五十六』に登場した戦艦大和のモデルを無償で譲り受けて作り上げたため、デザイナーの成田亨氏が激怒したとされていましたが、実際には円谷プロで作ったものだったようです。ただ、成田氏自身は既存の戦艦大和の模型を元にすることを要望されていたと語っており、諸説あります。もともと「アイアンロックス」は成田氏が『ウルトラマン』の没回である「侵略基地を砕け」のためにデザインした怪獣「ヤマトン」のリメイクであるため、このような説が生まれたのかもしれません。

 なお、本来の「ヤマトン」は一峰大二氏のマンガ版『ウルトラマン』に登場し、磁力で吸い付けた無数の鉄塊で作り上げた鎧の強力な防御力でウルトラマンを苦しめますが、最後は体内に飛び込んだウルトラマンのスペシウム光線により倒されています。