「2.5次元」作品で活躍する久保田秀敏と武子直樹 舞台演劇は「現実の動きよりも大きく表現」

引用元:ENCOUNT
「2.5次元」作品で活躍する久保田秀敏と武子直樹 舞台演劇は「現実の動きよりも大きく表現」

 2月18日から開幕する舞台「バレンタイン・ブルー」。avex management所属の俳優によるユニット「Avenue X theater」での第1回公演として注目を浴びており、作・演出に、舞台演出家として20年以上にもわたり活躍している堤泰之を迎え、さらに話題を呼んでいる。アイドルからベテラン、初舞台に挑む新人まで、多彩な顔ぶれが勢ぞろいしているが、いわゆる「2.5次元」作品を中心に活躍する俳優もいる。今回はその中から久保田秀敏と武子直輝にインタビューし、作品の魅力について仲良く語ってもらった。

【写真】舞台「バレンタイン・ブルー」について熱く語る久保田秀敏と武子直樹 色気あふれるソロショットから見つめ合う2ショットまで(3枚)

――お二人は漫画やアニメを原作とする「2.5次元」作品に多く出演されていますが、今回はオリジナルストーリーの舞台となります。作品のタイプやお客さんの層がかなり異なると思いますが、演じていて感じる違いというのはありますか?

久保田「確かに一見、ジャンルとしては違いますけど、舞台演劇という意味では実は基本的な違いはあまりないと思っています。登場人物の内面というのはどんな作品でも変わらないですしね。あくまでも世間一般でのカテゴリーが分かれているだけ、という感じですね」

武子「僕も大きな差はないと思っています。ただ、2.5次元はお客さんがあらかじめ原作のイメージで観劇されるので、僕らも原作のキャラクターと真摯に向き合って演じる、というところはあります。今回のようなオリジナル作品になると、自分やカンパニー、演出家さんや作家さんが作り上げたものを、お客さんは直接観劇しながらイメージしてもらうという違いはあると思います」

――演劇的にはあくまでカテゴリーの違いにすぎないということですね。では映画やドラマなどの映像作品との違いという点ではいかがでしょうか?

久保田「映像はカットを割ったりするので、短期集中型。舞台は最初から最後までを一つの時間軸で途切れず演じるので長期型、という違いでしょうか。映像ですとカメラでアップに撮られることもあるので、瞬きひとつ、目の向きのわずかな角度の違い、そういったことでも『この人は何を考えているんだろう』とか、非常に多くの情報をお客さんは受け取ります。それに対して舞台は一番後ろのお客さんから見たときにちょっとした動きだとわかりづらいので、現実の動きよりも大きく表現していきます」

武子「確かに舞台と映像の違いは、久保田さんがおっしゃったように……」

久保田「『久保田さん』? なに、そのよそよそしい感じ」

武子「いやいや(笑)」

久保田「普段『くぼひで!』とか呼んでくるくせに。インタビューのときだけは丁寧なんだよね(笑)」

武子「僕、一応は後輩じゃない。文字になったときに問題があるじゃない」

久保田「そこはいいじゃん、普段通りでいいじゃん(笑)」

武子「じゃあいつもどおり(笑)。では、ヒデ君が言ったとおり、映像だとちょっとした表情がすごく大事になってきますけど、舞台だと前の席のお客さんと後ろの席のお客さんで見える範囲が異なりますよね。そうした中で、劇場全体にある程度同じ情報が伝わるようにお芝居をしなきゃいけないという難しさがありますね」

――なるほど、舞台ではより大きく表現しなければいけないと。それでは今回のお二人の役どころについてお教えいただけますか?

久保田「『バレンタイン・ブルー』の舞台はある町のカフェバーなんですけど、僕はそこで働くことになる人物です。詳しくは劇場に足を運んで観ていただきたいですが、お店に集う人たちの歯車を回すキーパーソン的な立ち位置になります。僕のちょっとした芝居から物語の世界の見え方が変わるところがあるので、その表現に苦戦しながら毎日集中して稽古をしています」

武子「僕はコンビニで働いている、一見するとそこらへんによくいる明るい兄ちゃんですね。町を歩いているとこういう人ってよくいるよね、という感じの。なんですけど、人間って誰しも若い頃って夢を抱いたり、挫折を味わったりするじゃないですか。僕の役はそういう挫折を内面に抱えている人物になります。夢は過去のものとして明るく生きているんですけど、ヒデ君演じるキャラクターがバレンタイン・ブルーで働き始めたことをきっかけに、自分の中のもやっとしていたもの、あの頃の気持ちを思い出して、過去と向きあうことになるキャラクターですね」