カッコ良く歌手役を演じてみても…実際歌っているのは童謡 芳野友美・再現いろはにほへと

引用元:夕刊フジ
カッコ良く歌手役を演じてみても…実際歌っているのは童謡 芳野友美・再現いろはにほへと

 【芳野友美 再現いろはにほへと(6)】

 再現ドラマで有名人を演じる際、モノマネをされる方の役が大変と前回お話ししましたが、歌手役もまた大変です。大抵レコーディング中のシーンがあるわけですが、モノマネの時とは違って、最初から「ナレーションを被せるための映像だから声は使いませんよー」というパターンがほとんどです。

 これはこれでまた大変! 歌っている雰囲気が欲しいだけなので、課題曲も決められてないし、カラオケもありません。撮影する際に監督から「じゃ、何でもいいから適当に歌を歌って下さい」と言われるんです。

 日頃「何が食べたい?」など聞かれたりすると、私はよく「何でもいいよ」と答えてしまうんですが、この「何でもいい」という言葉は良くないですね(笑)

 話が逸れましたが、結局一人で決められず、周りを巻き込んで歌を決めます。そして、声を使わないとはいっても、一応テンポや表情によって雰囲気が変わってくるので、このシーンは何を歌っている時なのか、明確であればそれを元に、明確でなければその方の代表的なジャンルを元に、歌うテンポを決めます。

 歌手を演じているわけですから、カッコ良く堂々とプロっぽく歌わなきゃいけない。ちょっと手を動かしてみたり、目を閉じてみたり、表情を付けて“なりきり歌手”に! アカペラで!!

 でも、実際歌っているのは童謡「ちょうちょ」だったりします(笑)

 テストで歌い、さらに本番ではカメラ位置を変えたりするので数回歌います。無音の中めちゃくちゃカッコつけて「ちょうちょ」バラードバージョン! 声は使われないとはいえ、やっぱりその場にいらっしゃるスタッフさん方の前でこれは恥ずかしい!

 不思議なもので例えば【アカペラでカッコよく「ちょうちょ」を歌い上げる】と台本に書いてあったら、恐らくここまで恥ずかしくないんですよねー。本当に不思議。でも、こんな体験ができるのは、再現ドラマならではじゃないかと思います。

 恥を捨て己に打ち勝たねばプロの女優じゃないっ!!!と燃えてくるので、メンタルが鍛えられますよ(笑)

 ■芳野友美(よしの・ゆみ) 1980年7月2日生まれ、福岡県飯塚市出身。再現ドラマに多数出演する女優。その他、ドラマやCM、バラエティーでも活躍中。ハナマルキ「液体塩こうじ」CMに出演中、また田苑酒造イメージキャラクターを務める。