映画コメンテーター有村昆が選ぶ、アカデミー賞受賞作3選

映画コメンテーター有村昆が選ぶ、アカデミー賞受賞作3選

いよいよ現地時間の2月9日(日)に今年度の授賞式が行われるアカデミー賞。今回は有村昆に好きなアカデミー賞関連作3本を選んでもらった。

【写真を見る】「ローマの休日」に出演したオードリー・ヘプバーン

■ローマの休日

映画界最高の栄誉とされるアカデミー賞受賞作の中で、有村氏が特に大好きな『ローマの休日』は、オードリー・ヘプバーンの主演女優賞を含む3部門でオスカーを受賞している。

「この作品はアン王女を演じたオードリーの魅力に尽きます。もう、全編かわいい(笑)。ハリウッド映画初出演にして初オスカー受賞という、百年に一人の逸材がこの作品から生まれたということですよね。ただ、終戦から間もない時期に敗戦国・イタリアのローマでロケしていますから、その傷跡も色濃く映し出されています。記者会見の場面で、アン王女は国家間の友好関係について『守られると信じます…個人の関係が守られるのと同様に』と言うんです。今現在でも、一つになれない世界へのメッセージとして刺さる言葉です。戦争という背景を意識して見ることで、不朽の名作になった理由がより分かるはずです」

■スパイダーマン:スパイダーバース

有村氏の”近年の推したいナンバー1″は、昨年度の長編アニメ映画賞作品『スパイダーマン:スパイダーバース』だ。

「アナログとデジタルを丁寧に融合させた表現力、アニメという手法でしか描けない新しい驚きに満ちた『スパイダーマン』の世界観。これまではディズニー/ピクサーがシーンをけん引してきましたが、ソニーの底力、クリエーター魂を感じました。久しぶりにアニメの歴史が変わる節目の作品が登場したな、と。ぜひ食わず嫌いせずに、最新のエンターテインメントってここまできてるんだ、という”到達点”として見てほしいです」

■アリー/スター誕生

昨年度のアカデミー賞で歌曲賞に輝いた『アリー/スター誕生』も思い入れの深い作品。

「僕は1976年版の『スター誕生』も大好きなんですけど、超えてきましたね。注目は、ライブのワンカット長回し撮影。これがアーティストからの視点で徹底されていて、1976年版と真逆なんです。あと、劇中だけじゃなくて、昨年のアカデミー賞授賞式の時にも感じましたが、歌曲賞にノミネートされた楽曲『Shallow』の生パフォーマンスで、圧倒的なレディー・ガガの歌唱に食らい付いていくブラッドリー・クーパーがすごかった。歌曲賞関連作は、今年も作品と合わせて授賞式のパフォーマンスもご覧いただきたいですね」

ありむら・こん●1976年7月2日生まれ、マレーシア出身。年間500本の映画を鑑賞。最新作からB級映画まで幅広い見識を持つ。映画コメンテーター以外に、長年ラジオ番組のパーソナリティーしても活動。

取材・文=山崎ヒロト(Heatin’ System) HOMINIS