メンズドラマ続編対決「きのう何食べた?」が「おっさんずラブ」に完勝した理由

メンズドラマ続編対決「きのう何食べた?」が「おっさんずラブ」に完勝した理由

 明暗が分かれたようだ。昨年ブームになった“メンズラブ”ドラマの話。元日に放送されたテレビ東京系のドラマ「きのう何食べた? 正月スペシャル2020」は西島秀俊(48)と内野聖陽(51)のダブル主演で、同棲する弁護士のシロさん(西島)と美容師のケンジ(内野)の“食生活”を巡る物語である。

 よしながふみ氏の同名漫画を、昨年4月期に連ドラ化。〈なんてことない日常の素晴らしさに気づかされる〉〈誰と食べるかはすごく大事なことなんだな〉……ネット上にそんなファンの声があふれ返る人気ドラマとなった。

 ドラマウオッチャーで芸能ライターの山下真夏氏がこう言う。

「続編の放送を元日の夜10時に持ってきた時点で、テレ東サイドがいかにこのドラマを大切にしているのか、本気度が伝わってきましたよね。西島さんと内野さんはもちろん、他の役者さんもそれに応えるように、真摯に役と向き合っているように思えました。今回のスペシャルで、いっそう役を自分のものにしたなと感じたのは磯村勇斗さん。大人を翻弄する小悪魔男子役ですが、実は愛情を欲してやまない一面もある。そんな航をひょうひょうと演じていて、“演技オバケ”ともいえる名優・山本耕史さん相手に、引けを取らない存在感を見せたと思います」

 ドラマ放送後にネット上に書き込まれた感想のほとんどは高評価。〈いろんな愛の形、素敵〉〈こんな早い時期に続編が見れて、幸せ〉〈心が温まる〉〈シロさんとケンジが年を取っても、ずっと見ていたい〉と絶賛の嵐なのである。

「連ドラは難しいとしても、年に一度のスペシャルドラマとして継続してほしいという声も多い。西島さんも内野さんも売れっ子ですが、これだけ愛され、支持を集める人気ドラマですから。今後も『きのう何食べた?』のオファーがあれば、おそらく受けていくでしょうね」(テレビ誌ライター)

 同じ男性同士の愛を描いた人気ドラマといえば、テレビ朝日系の「おっさんずラブ」。昨年11月に第2弾として連ドラ「おっさんずラブ―in the sky―」が放送されたものの、視聴者の感想は〈前作を愛していたけど、シーズン2はひどかった〉〈もう続編は作らなくっていい〉などと手厳しいものが多かった。“続編”では完全に「きのう何食べた?」に軍配が上がったようだ。前出の山下真夏氏がこう続ける。

「『おっさんずラブ―in the sky―』は、視聴者が見ていて切なくなる場面が前作に比べて少なかったのが痛かったですね。永遠に誰とも結ばれないからこそ応援できた“ヒロイン”の武蔵(吉田鋼太郎)が、今作では“はるたん”(田中圭)の愛を勝ち取った。となると、おそらく、これ以上の続編を作るつもりがないのかもしれません」

 よしながふみ氏は現在も「きのう何食べた?」を「モーニング」(講談社)で連載中。連載が続く限り、ドラマの続編も続くかもしれない。シロさんとケンジが今後どんなふうに年を重ねていくのか。見守り続けたいと思えるドラマは、確かにそう多くはない。